映画感想日記

映画の感想を記録したくて。

『ズーム 見えない参加者(2020年)』感想!これは面白い!

『ズーム 見えない参加者』(2020年)

 

監督 ロブ・サベッジ

脚本 ジェド・シェパード、ジェマ・ハーレイ

個人的好き度 ★★★★☆

 

SNSや口コミで何回か目にしていた作品でしたが、タイトルから「どうせコロナでズームが流行ったから流行に合わせて作った薄っぺらい作品だろ〜(失礼)」とおもってたのですが、

 

観てびっくり。

 

『『  ド王道やないかい!  』』

 

内容は王道のオカルトホラーで、脚本もシンプルながらオチまで綺麗にまとめられており、ホラー好きなら大満足の出来でした。

 

名前で判断して本当にごめんなさい(反省)

 

 

以下良かったところの感想です。

 

①「ズーム」という媒体とホラーの相性のよさ

 

まずズームという媒体が、単に流行を利用したに留まらない、ホラー作品との相性が抜群でした

 

フィルターや背景を設定できるというズームのコンテンツを取り入れたシーンももちろんあるのですが、

 

リモートという場面設定が絶妙な距離感を演出していて、仲間に何が起こってるかわかってるのにどうすることもできないという状況を作り出していました

 

それはつまり、映画をみてるお客さんと同じ目線であり、

 

つまりお客が一緒に降霊会を行っているような没入感も生まれていました。

 

これが本当に怖い怖い

 

またズームで画面を分割することで、スクリーンのどこを見たらいいかわからなくなる、というのを利用して、画面の余白を生み出すことで怖さが演出されていました。

 

他にも素晴らしさ演出が多く、ズームという媒体をフルに生かした素晴らしい演出であったとおもいます。満足

 

 

②でしゃばらない霊が怖い

 

この映画、邦題が「見えない参加者」なだけあって、霊の姿がはっきり映るのはほとんどない。

 

ズームという設定上、下手をするとチープになってしまうなかで、姿を表さないことで怖さを保っていた気がします。

(この辺は邦ホラーも見習ってほしいです)

 

でしゃばらない霊のおかげで、「ズーム」という設定の邪魔をせず綺麗な作品となっていました

 

 

③奇をてらわない王道な内容

 

ズームの使い方の素晴らしさに目がいく作品ではありますが、その脚本、演出の良さも感じました。

 

言っちゃえばベタな演出も多いのですが、逆にそれが作品の邪魔をしないというか、一本の作品としての完成度を高めていると感じました。

 

前半はズームという平面的な画面の演出を仕掛け、後半にかけてダイナミックな演出を繰り出して、飽きさせない構成となっていました

 

とても素晴らしかったです

 

 

まとめ

コロナで映画界が厳しくなるなか、センスとアイデアで素晴らしい作品を作り出した制作陣に拍手と感謝をしたいです。

 

ホラー好きならだれでも満足する、怖さ・面白さ・新しさがある、確かな力のある作品でした。

 

ぜひ劇場でみてください!!

 

え?ズームなんだから配信待ってパソコンで観るのもいいんじゃないかって?

 

そりゃ部屋で独りパソコンで観てたら怖すぎて耐えられないとおもうので…………………

 

だむ

 

 

ヘレディタリー継承(2018年)

ヘレディタリー継承 感想

監督 アリアスター

脚本 アリアスター

個人的好き度 ★★★★★

 

『ミッドサマー』(2020)が大好きでミッドサマーを観たあとにヘレディタリーも観てみたのだけど、まあ面白いけどなんだかわからんなぁという感じだった。

 

今回観るのは2回目。

 

いやあ、めちゃんこ面白いじゃないですか

 

ということでヘレディタリーの好きなところを紹介します。

 

①オープニング

開始5秒でおもしろい。音楽がめちゃくちゃよくてただならぬ映画が始まるぞという雰囲気がビンビンで大好きでした

 

②音楽

全体を通して不気味さが際立つ劇伴が凄くいい!

怖い・不気味だけじゃなく、それでいてスピリチュアルで不思議な雰囲気が演出されていて凄く好きでした

 

③構図

全体を通して、真横からや真上からの構図が多く、平面的にすることでフィクション度というか、リアリティさを弱めてより不思議・不気味な雰囲気を醸し出していました。

 

④チャーリーが怖い

チャーリー役の女優さんが怖い怖い。出てきた時点でこいつはやべえぞ…となる雰囲気、演技。最高でした。

 

⑤ラスト怖すぎ案件

なんですかラスト20分。急に来ないでやめてよバカ。燃えるな、走るな、首切るな。あと服着ろや。

大好きです。

 

 

 

全体を通して、音楽、構図、演出、演技、全てが一貫して作品の独特な雰囲気を丁寧に作り出していた作品でした。

 

流れとしては、アリアスターぽいスローテンポで、何が起こるでもないのにじわじわと一歩一歩確実に深くはまっていく、そんな作品でした。

個人的にもたっぷりとした間の使い方がとても好きでした。

 

内容としては、

初見だとなにがなんやらわからないところも多く、よく分からないなぁという印象も受けます。

しかし、この作品はそれで良いんだとおもいます。

よく分からないからこそ「よくわからないけど周りでおかしなことが起こるというピーターの境遇」に共感できる、という楽しみ方があるとおもいます。

 

だからこそ2回目も以降は考察を深めたり、伏線を楽しんだりすることもでき、何回みても楽しめる作品なのだとおもいます。

 

私自身も全てを理解できたわけではなく、また次見るときが楽しみですね。

 

他にも、

ピーターの人の良さそうなキャラが非常に良く物語に入り込みやすかったり、アニーが霊的におかしくなったのかただ娘が死んでおかしくなったのか絶妙に分からせないバランス感覚があったり、オカルトに盲信する側と冷静な側の対比の演出があったり、オカルト的怖さとやばいカルト人間的怖さの両方のバランスがよかったら、良いところを上げたらキリがないです。

 

個人的にはホラーとして楽しむというより、一本の素晴らしい映画として楽しみたい作品でした。

 

観たばかりですがまた観たいです。ぜひ。

 

だむ

 

【個人的解釈】

おばあちゃんは元々、地獄の王ペイモン復活目論むカルト集団のトップで、息子や孫を使って復活させようとしていた。

ペイモン復活には男の身体が必要だったが、ピーターとは接触禁止にされてしまったので、チャーリーをペイモン復活の魂として作り上げていたんじゃないかと。

そしてチャーリーをまんまと殺し、ジョーンはアニーをそそのかし、ペイモンの魂であるチャーリーの魂を降霊させた。

なんやかん抗うピーターであったが最後はペイモンの魂であるチャーリーに身体を乗っ取られ、無事にペイモンは復活しました。

 

ちゃんちゃん。

 

ということでしょうかね…

 

また観てみます。

 

おしまい

キャストアウェイ(2000年)

キャストアウェイ 2000年

監督  ロバートゼメキス

脚本 ウィリアムブロイルズジュニア

個人的好き度 ★★★★☆

 

監督であるロバートゼメキスは、バックトゥーザフューチャーシリーズをはじめ有名な作品を多数残している著名の監督ですね。

 

今回キャストアウェイを観ようとおもったのは、最近呪術廻戦というアニメを観たときにこの「キャストアウェイ」がでてきたからです。

(ちなみに呪術廻戦本編にはあまり関係ない)

 

ということで2時間半近くある長い作品ですが観ることにしたというわけです。

 

全体の映画の印象としては『真面目で丁寧』という感じでした。

 

たっぷり、じっくり、わかりやすい。

 

全体を通して主人公の置かれた状況、それによる心情が伝わってくる映像・演技でとてもよかったです。

 

あらすじとしては、

ひとりの男が飛行機事故で漂着して無人島に流れ着き、そこで生活をするという話でありました。

 

冒頭20分は、流される前の主人公。

職場やタイマーのシーンでは厳しい一面を示しながら、友達の妻のガンを心配する側面もあり、真面目で思いやりのある主人公のキャラクターがしっかりと伝わってきました。

 

無人島に流されてからも、

とにかく分かりやすいなぁという印象でした。

 

無人島に独りなので、人物との会話で状況の説明をしたりできないため、映像で見せるしかない。

 

そんな中で、主人公のやりたいこと、周りの状況が分かる画面作りによって、セリフが少ないながらも状況・展開がしっかり伝わる映像となっていました。

 

脚本もとても上手かったです。

ストーリーとしては「無人島に漂着した男がサバイバル生活をして脱出する」というシンプルなものではありましたが、

 

同じ島・同じ登場人物しかないため、ともすればワンパターンになってしまう。

 

しかし、そこを上手く展開や漂着物を使って、登場人物が1人ながらも飽きさせない展開・演出となっていました。

 

 

まあしかしですよ、1人にはどうしても限界があるわけでして、セリフも少ない、映像、展開もいっぺん通り、脚本の限界もくるわけですよ。それは主人公も同じで絶望的な無人島で独りで生活するのは辛いわけですよ。

 

そんな、展開のマンネリ化と主人公の孤独を解消してくれたのが、ウィルソンです

 

ウィルソンの存在が本当に映画の横幅と奥行きを作り出していました。

 

ウィルソンを生み出した脚本は素晴らしいとしかいいようがないです。ありがとうウィルソン。

 

その後の

4年後からはめちゃくちゃ面白かったです。いきなり銛で魚を取りだし、めちゃくちゃ適応してるやん!となるし、ウィルソンを蹴飛ばしたかとおもったら叫びだす主人公には、おもわず笑ってしまいました。

(孤独な無人島で限界を迎えた主人公をよく表している良いシーンなのですが)

 

島から帰還したあとは、

恋人が再婚してたのもベタではありましたが、(もしかして本作が初めなのかもしれないが)、時の流れを感じさせる良い演出ですよね。

 

でも寂しい…時が経ってしまった現実とそれによる2人の距離感…

 

去り際のシーンは、

別れのキスとゆっくり去る車…そして追いかけ抱き合う2人…もう最高でしたね…

 

ラストの交差点のシーンも、

どこまでも続く道、前にも後ろにも横にも広がっている道。これからはどこへでもいけるんだという自由が示されていて、希望に満ちた終わり方でよかったです。

 

最後に、

全体的にスローなテンポでしたが決してテンポが悪いわけではなく、自然の中でのスローライフをのんびりした空気感が楽しめる映画でした。

 

日曜日の夕方くらいにのんびり観たい…

 

あっと驚く展開とかは無い作品ですが、そこが逆に作品に安定感と安心感をもたらしているきがしましたね。

 

無人島漂着モノの祖となる存在として、各所でオマージュ・リスペクトを認める本作は一見の価値のある面白さした。

 

ぜひぜひ。

 

だむ

 

 

 

フルートベール駅で(2013年)

フルートベール駅で(2013年)

監督ライアンクーグラー

脚本ライアンクーグラー

個人的好き度 ★★★☆☆

 

去年の年末に観た『ブラックパンサー』が凄く良かったので、同じく監督・脚本作である『フルートベール駅』を鑑賞。

 

実際の事件を元にした映画であり、丁寧に取材を重ねて作られただけあってリアリティある内容となっていました。

 

テーマとなってるのは黒人への差別問題であり、社会への問題提起がなされていました。

そしてただの風刺だけでなく、映画としてキャラを深める映し方、どこか漂う暗い雰囲気の表現かとても良く、後半のシリアスな展開も無理矢理な悲嘆の演出ではなく、リアリティある淡々とした中の悲しみという空気が伝わってきてとても良い映画でした。

 

個人的な好みとしては実話をもとにした映画は脚本が上手くない場合が多くあまり好きではないのですが、

今作も脚本として、ストーリーとして"面白い"というものではなかったです。

 

しかし、社会への問題提起・事件の記録映画としては、とても雰囲気の伝わるこれ以上ない出来だったのではないかとおもいます。

 

これもまた映画という多面的な媒体の良さだなぁとおもいました。

 

いい意味でドラマチックでない内容で、伝えたいことがずっしりと伝わる良い映画でした。ライアンクーグラー、やっぱり凄くいいですね。テーマへの理解と適切な脚本、それを表現する力がある監督です。

 

社会の中で生きる1人の人間を通して、生と死という重いテーマを描ききった良作でした。

 

長い映画ではないのでぜひ観てみて下さい。

 

だむ